自尊心の成長メカニズムと、自尊心理論(自尊心理システム)のAI(人工知能)搭載による可能性について
『自尊心「形成・維持」不全』 著者 高しま たくや <2015年7月2日 記載>


 著書『自尊心「形成・維持」不全』は、人の心理を理論的に考える事を思いつき著したものであるが、もともとIT関係にいた私自身が、人の心理が視覚的(数学的)にどのように成長し、どのように人の感情や行動に影響しているかを表したく考えていて閃いた事でもあるため、この考え方はIT関係にフィードバック出来るものである事に気が付いた。

 そのきっかけとなったのが、googleの人工知能マシンがプログラマに怒るという記事(外リンク)だった。

 私の自尊心理研究家として、人工知能マシンが怒ったメカニズムは何なのか?人が怒る原理と同じだとすると、今のAIはそこまでのレベルに達しているのか!?と元IT関係の血が騒ぎ、いろいろ調べてみた。

 しかし、どうやら今のAIには特に感情といったシステムが組み込まれているのではなく、人間とのやりとりした情報から、行動を模倣していっているというものであり、ちょっと残念だった。
 人の表情や、声色(声のトーン)を読み取り、人の感情の変化を読み取れるまでのAIに進化している事も分かった。
 そして、この人を模倣するという膨大な処理や表情や声色の認知や、そのロジックを考えると途方もない気の遠さを感じもした。

 でも、ここまでAIが進化してきているのなら、模倣ではなく感情として処理をしAIを怒らせるためのロジックなんて、人間の自尊心理システムを真似て作れば簡単なのになぁ…

 と、思ったのだが、人工知能が目指す方向性を考えてみると、その多くは全知全能であり、自らのプログラムを自分で変更し進化も出来るAIなのかな?とも思える所もあるので、私のこの提言がAIを研究する方々にとって必要なものであるのかないのかは分からない。

 ただ、この完璧なAIを目指す過程で、人間らしい、人間臭い、より人間的なAIを作るというステップも有りと考えるなら、著書『自尊心「形成・維持」不全』にある理論は、使えるものであると思う。
 そして、この人間にも起きている『自尊心「形成・維持」不全』という状態を、AIにも起こさせる事で、もしかするとAIに自らのプログラムを更新するという行動を起せる事も可能になるかもしれない。

 本書を読んで頂ければ分かるのだが『自尊心「形成・維持」不全』は、プラスにもマイナスにも作用するものだ。即ち、関わり方によっては、それはまったく使えないAIに成長する事になる可能性がある。
 まぁ、こうならないようにプログラムでリミッターをかけておけば良いのだが、自尊心理研究家としてはより人間に近いAIの実現を望んでしまう。

 それは、より人間に近い心理を持つAIを実現出来れば、人が心を病む論理も明確に分かってくるし、その状態からどう戻してやるかの論理を見つける事にも繋がると思う。
 また、虐待が世代間で連鎖してしまうという事も、虐待されたAIの心理状態を作り、そのAIに全くの新品のAIを育てさせる事で、この連鎖の仕組みの解明にも繋がるのではと思う。この子育ての世代間の連鎖は『自尊心「形成・維持」不全』にも言える事で、人の心理の形成メカニズムの解明にも役立つと思われる。

 と、話が自尊心理研究家としての視点に偏ってしまったが、私の思う「自尊心の成長メカニズム」と「自尊心理論」を最新のAIに搭載する事(元IT関係者として難しいとは思えない)は、人工知能の究極を目指す研究者にとっては、残念な結果をもたらす可能性もあるのだ。
 それは、私の考えたロジックを搭載したAIは、その関わり方によってAI研究者達の思惑通りにAIは成長もするが、子育てと同じで思惑通りにならず、「ひきこもり」のAIへと成長させてしまうものでもあるからだ。

 ここで、より人間に近いAIを作っていくという方向性の上で必要な機能を挙げてみる。

 ・インターネットと繋がっていて、検索し情報を得てそれをある程度、精査出来る
 ・人間の表情・声色(声のトーン)を読み取って、相手の感情を識別出来る
 ・人間とのやりとりや、情報からある程度人間を模倣する事が出来る
 ・人型なら、触覚(衝撃や圧力感知)やバランス感知がある

 これらが出来るAIがあり、

 ・自尊心の成長メカニズム(固有の人格が形成されていく)を搭載する
 ・自尊心理システム(自身の心理状態を把握し行動を起こさせる)を搭載する

 これらを実現すると何が起こるのか。

 ・育て方によって、人格とも言える個性を持つことが出来る(※育て方とは、新品のAIと関わって行くという意味)
 ・相手に協調する事もあるし、反発する事もある(模倣ロジックではなく、心理状態によって行動するロジック)
 ・応答だけでなく、自発的にアクションを起こさせる(人型であればアクションは多様化出来る)
 ・出来たり出来なかったり、人間らしい不完全さが出る

 これらの、人間っぽい行動のメカニズムは、本書『自尊心「形成・維持」不全』を読んで頂ければ、IT関係者ならこれをプログラミングしていくのは容易であると気付いてもらえると思う。
 ただ、心理の状態をデータ化して判別する事は容易に出来るようにはなるが、その心理状態でどの行動選択肢を選ばせるかのロジックは難しいかもしれない…が、既存する模倣ロジックを応用する事で、AIにとって身近な行動を起こさせてみて、この行動によって心理状態が変化し、これが意味のない満たされない行動であれば、次候補の模倣を試みる方法で良いのかもしれない。

 このように、詳細なシステム設計に入って行くと、いろいろと課題が出てくるだろうが、これらの多く出てくるシステム設計における課題の解決は、出来ないものではないと思う。

 最後に、「孫正義が語るコンピュータ進化論~人工知能に感情は必要か?」(外部リンク)で、孫社長は300年という長いスパンで、コンピュータに感情を持たせるべきかの話となっているが、「自尊心の成長メカニズム」と、「自尊心理システム」を搭載すれば、数年のうちに人間らしさのあるAIは実現出来てしまうと思う。
 しかし、究極のAIとしては、孫社長の言うとおり300年はかかるのかもしれない。


●高しま たくや(『自尊心「形成・維持」不全』著者)
 自尊心理研究家であり、職業としては元IT関係ではあるものの、自社のコンピュータ関係のシステムは自分で開発し続けており、かろうじてIT関係でも現役であると思っている。
 今から約14年前、日本にいる限りIT関係では最先端を追い求める事しか出来ない(自社HPの理事長室記載「………コンピュータ業界でも最先端を行くアメリカのM社やⅠ社などは、100%を110%、120%へと進化させる仕事もあるが、日本にいる以上は、そのごく一部の最先端に関わる事は非常に難しい。……」)と思い、進化し続けるコンピュータ業界の100%を追い続ける事(活用するだけ)が殆どの日本のコンピュータ業界から離れたのだ。
 そして、正解が分からない100%を追い求め続ける、発達や心理関係に魅力を感じて身を投じてきた。この14年で見つけた自尊心理論は、もしかすると100%を超えた進化させるコンピュータ業界に触れる事が出来るかもしれないと、かつての想いが蘇ってきたので、ここにその想いを記してみた。

 もし、現役で人工知能研究をされている方が、この文章を見て感心を持っていただけたなら、出来る限りご協力させて頂きたいと思います。
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 全ては、人々の幸せな未来の為に。


『自尊心「形成・維持」不全』
©Takuya Takashima 2015 Printed in Japan ISBN 978-4-86476-326-4